放浪コラム

強力なセクレタリチーム

僕が最初に入った会社では、営業部の庶務さんと言えば、いつもお茶をのみながらしゃべりまくってる印象でした。暑い中、寒い中、営業の僕がオフィスに戻ってきて何か仕事を依頼しようとすると露骨に面倒くさそうな顔をするのです。当時は、ワープロも課で一個とか、見積書も手書きとか、庶務さんに頼らなければ書類作成がままならなかったので、我慢するしかなかったのですが。

転職した外資系では事情が違いました。営業1名から2名に対して、1名のセクレタリがつき、相棒と呼べるほど二人三脚で業務をこなしていくのです。内勤のセクレタリが、大半の業務を外に出ている営業に代わってこなしてくれて、お客様対応、見積書の提出、その他ルーチンワークを手際よく処理してくれます。おかげで、僕はほとんどオフィスに居ないまま、事務処理も滞ることなく、それなりの営業成績をあげることができました。

今の僕たちの会社では、メンバー、25名に対して、セクレタリが5名在籍しています。営業的な業務を行うアカウントマネージャが5名ですから、多い配分です。アカウントマネージャ2名に対して1名という状態です。個々のセクレタリは、営業支援担当、経理担当、総務担当、マーケティング担当などと会社全体におけるミッションもあるのですが、内勤という状況を活かして、会社の強力な推進エンジンとなっています。

このセクレタリ陣は、かなりの総合的なバランスが取れていて、さらに頭の回転が速く、ビジネスマナーもしっかりと叩き込まれていて、何事にも柔軟に、かつ向上心が高くないと勤まりません。アカウントマネージャ陣や僕がお客様の満足度向上や新しい仕組みづくりに没頭できるのも、強力なセクレタリ陣が滞りなく業務を進めてくれているからです。最近では、プロジェクト型の業務もどんどんセクレタリ陣との共同作業で進めています。
セクレタリ陣の業務もマニュアル化していくことは可能で、進めてはいるのですが、どうしても本人たちの資質に依存する部分が多いです。そういう意味で現在のメンバーはかなり強力です。

僕たちの場合、積み上げてきたノウハウと、それを運用するセクレタリというこの二つが、「会社である」と言っても過言ではありません。向上心にあふれた、全体を見渡せ、スピード感のあるセクレタリグループ。これが僕たちの企業文化の重要な一端です。

僕たちと最近名刺交換したことある方は知ってると思いますが、メンバーの名刺には、セクレタリ名が併記しています。これは、留守がちなメンバーに対しても円滑に連絡が取れるようにしているお客様向けの側面もありますが、一番は、誇りを持ってセクレタリのみんなが活躍して欲しいという想いもこめています。

社内英会話教室

先輩経営者の方々に話を聞くと、順調に組織として動いている会社の経営者の方は、「教育」の重要性を強調されます。中には会社の費用で大学へ通ってもらっているような例も。僕たちの場合、そこまでの体力はまだないのですが、教育の重要性は痛感しているので、特に最近は「最初から決まっている勉強時間」として、ある程度教育の時間を確保しています。このあたりの進め方はまた別項で。

業務教育や、スキル教育、勉強会とは別に、毎週水曜日は、昼の12時半~13時半まで英会話教室を開催してます。講師できてくれているのは、エポック英会話教室のHojin先生。


手品の名人でとてもフレンドリーで楽しいレッスンです。休憩時間を30分と、就業時間内30分を利用しての英会話教室。目的の第一はもちろん英会話力の向上を個人としても会社としても目指しているわけですが、さらに目的がいくつかあります。

・普段会話することの少ないメンバー同士で会話を楽しむ
・控えめな性格が多い中、勇気を出す習慣を身につける
・勉強をしなきゃ・・というきっかけづくり
・30分仕事時間が短くなることをあらかじめ頭に入れての段取り力の向上

などなど。僕もお客様絡みの予定が入ってない限りは、「Keiji」として参加しております。新人の特に女性メンバーとは僕も普段会話することがどうしても少なくなってしまっているのですが、英会話教室では、「笑顔」で、ファーストネームで呼び合って会話をします。実際、この機会は貴重です。

そういう意味では、英会話である必要はなく、会社の実状に合わせた業務系以外の勉強タイムを実行すればいいでしょう。料理教室などいいかもしれませんよ。

英会話の上達はというと・・・僕の場合は怪しいのですが、これがきっかけでジョギングの時などに、英会話のポッドキャストなど聞くようになりました。上達までの道は険しいですけど!

移動時間を勉強時間に

経営、ビジネスにおいては、

・移動時間
・社内業務時間

の2つは、少なければ少ないほどよく、

・お客様活動時間(訪問、お客様向けメール、お客様向け提案の準備など)

を圧倒的に増やすことが原則です。加えて、個人レベルでは、

・勉強時間

を増やす必要があります。

社内業務時間は仕組み化や、不必要な業務がないかなど、定期的な棚卸で見直しを進め、場合によってはアウトソーサーの活用も大事になってきます。前回書いた、ルーチン作業の割り出しと、その徹底的なマニュアル化が大いに貢献するでしょう。

ただ、移動時間は個人レベルで少なくするのは限界があります。そもそもエリア戦略が間違っていたら、どうやっても短くならないからです。このエリア戦略の件は別途項をあらためます。

では、個人レベルで可能な工夫はないでしょうか?

移動時間を有効活用して、例えば、PCが使える環境ならば、メールの返事を書くとか、専門ブログを執筆するなど、「お客様活動時間」に変えることが可能です。葉書を書くことが可能ならば、訪問後の御礼などをさっと書いて投函するなど有効でしょう。携帯でもできることはけっこうあります。電波が良好なら待ち時間使って、アポイントのお願いなども可能です。携帯でお客様も読んでいるブログを更新したりもできます。

僕は最近では、移動時間=勉強時間と考えるようにしています。以前から雑誌などは読んでいたのですが、マス向けの情報はやはり希薄で、勉強にはならないと感じていました。最近では、飛行機や電車での移動の場合は本を数冊持っておいて、読み進みつつ、ノートにまとめたり、社内SNSに情報を書き込んだりして、自分が後で使えるようにします。

車での移動が香川においては圧倒的に多いのですが、以前ならラジオを聴いたり、好きな音楽をかけたり、あるいはテレビの音声だけ聴いたりでしたが、現在は、経営の勉強のCD-ROMや、これはと思った音声教材をiPodに溜め込んでおいて、聴くようにしています。これという教材は、100回ぐらいは聴かなきゃというつもりで。僕は記憶力が高いほうではない、まぁ、凡人ですので、一回聴いたぐらいでは抜けていきます。100回、200回と聴いてやっと自分の肥やしになるようです。そう考えると、移動時間は大事な勉強時間になるのです。

僕たちは営業車を2台保有していますが、どちらの車にも、このような音声教材のCD-ROMを10枚ずつほど搭載しています。お客様先への往復の間、寸暇を惜しんで何度も何度も聞くことで、質の向上が図られていると感じます。

ルーチン業務のマニュアル化

忙しい、これ以上は無理!って時は、集中力も途切れ途切れで悪夢のスパイラルになりますね。TODOリストを何回いじっても全然減りません・・・。

組織においてこういう負のスパイラルがはじまると生産性は一気に低下します。「取りあえず、集まろう!」と声をかけ、よく聞いて見ると、「プロジェクト型の業務」と「ルーチン型の業務」が一緒にごちゃ混ぜで進行していることがよくありました。

そこで、これらを分ける作業から着手しました。

次にルーチン型の業務においては、本当にその業務が必要かどうかを精査し、これまでの方法がベストかどうか検討します。その後、マニュアル化を細かい部分まで進めます。マニュアル化すると「思考停止するんじゃないの?」とか、「マニュアルがないと動けない人材を育てるんじゃないの?」と思われがちですが、いろいろ試した結果、ルーチン業務に関しては徹底してマニュアル化し、スピード優先、品質優先にして、「思考」は、マニュアルの「改善」に振り向けた方がうまく進むように思います。その際、担当者が誰で、目安として何分(何時間)程度で終えるべきかなどもマニュアルに記載します。

ルーチン業務のマニュアルが揃ってきたら、担当者の割り振りを見直しつつ、各自のカレンダーに落とし込みます。プロジェクト型の業務が向いている人からは、できるだけルーチン的な業務の比率を下げてもらいます。ルーチン業務で、マニュアルの完成度が高く、カレンダーがしっかりしていると、少々業務が詰め込まれても、目の前のマニュアルを変えるだけで、15分単位で違う業務を滞りなくさくさく進めることが可能になります。

プロジェクト型の業務はそれなりの経験のあるプロジェクトマネージャが数本のプロジェクトをまとめて管理するなどすると案外スムーズに進みます。それでも、よく点検してみると、プロジェクト型と思いつつ、ルーチン業務に移行できるものが混じっていることがあったりするので、プロジェクトの課題のひとつに「XXの仕組み化、マニュアル化」という項目を追加し、ルーチン業務としてのスタートまでをプロジェクトとして進めます。

僕たちの会社では、主に、セールス・マーケティング活動において、ルーチン業務を整備して、マニュアル化を進めているのですが、この方法に関しては別途ご紹介したいと思います。

研修合宿

前回は開発合宿、課題処理合宿でしたが、今回は「研修合宿」についてです。僕たちの会社では、4月の新人入社時と、既存メンバー向けに秋と、年に二回ほど研修合宿を行います。普段から毎週金曜日を中心に社内研修は行っているのですが、泊りがけで行うといろいろメリットも多いですよ。

いろいろ合宿候補地は探しているのですが、僕たちの場合は創業以来、五色台の自然休暇村を利用させていただいています。

・オフィスにすぐに戻れないので集中できる
・見晴らしがよく、休憩時など気分爽快
・風呂が大きくて疲れが取れる
・食事もボリュームがあって、三食お願いできる
・広い会議室が利用できる

などなど。やはり日常から遠い、隔離性の高い場所ってことが大事でしょう。

昼前に着いたら、簡単なスケジュール確認のオリエンなどして、早速僕からプレゼン開始します。その後、午後の確認をして、昼食。ゆっくりしてから、主に、DVDの教材などを利用して、研修を進めます。センテンスごとに、僕がコメントをはさんで、身近な話題に落とし込みます。

夕方からはチームに分かれて課題に取り組んでもらいます。例えば、「インターネットを利用したまったく新しいサービスを考案して、企画書作成、プレゼンテーションを実施する」などです。ブレストから始まり、役割分担、他のチームの動向調査など、まさにプロジェクトマネジメントをけっこう真面目に実践してもらいます。

夕食は賑やかにアルコールも交えて。20時ぐらいから懇親会を部屋に戻って。最近ではWiiを持ち込んで大会開催したりなども盛り上がりますね。

翌日は最後のプレゼンテーションに向けて集中して取り組みます。けっこう苦労するのが時間配分。プレゼンテーションに練習時間を割くほうが大事だよ、と説明してもついつい企画書のまとめに時間を使い切ってしまいます。それでも、チームで一生懸命取り組んだプレゼンはなかなか見応えあります。

終わって片づけして、まとめなどして合宿を終えるのですが、五色台の山を景色を眺めながら下っていると、「これから下界の現実社会でがんばるんだ!」という気持ちになってきます。面白いですよ。

開発合宿(課題処理合宿)

なかなか課題消化が進まない。TODOが毎日増えていくばっかり。やりたいことはあるのに、頼める人が誰もいない・・・。

ということが多くはありませんか。

システム開発系の会社や、プログラマーの方々の間では数年前から「開発合宿」というものが活発に行われています。通常のオフィスなど仕事場から離れて、例えば温泉宿や民宿などにこもって、集中的に短期間で劇的に開発効率を高める手法です。

僕らも2年半前に試しに5名のメンバーで3時間かかる山小屋風の宿泊施設に行き、合宿しました。行きの車の中でもブレストを繰り返し、アイデアをブラッシュアップしていきます。そして、決めておいた課題処理の手法を明確にしていきます。着く頃にはかなり頭が戦闘モードになっています。

着いたら、すぐにネットワーク回線を確認して、作業できる空間を作ります。眺めのいい部屋が好ましいですね。まずはストレッチなどしてモチベーションをアップしていきます。

で、そこからは集中して開発なり作業に取り掛かります。迷ったときに決断できるメンバーが入っているとさらに効率があがります。リーダーがひとりひとりの作業内容を把握して、アイドルタイムが出ればすぐに別の作業を依頼できるようにスタンバイします。

食事はできれば付いていることが好ましいですが、そうでない場合は、リーダーが用意するのがベストパフォーマンスです。とにかく作業の手をできるだけ止めないようにします。食事時のアルコールは判断が難しいところですが、夜は作業効率を考えないなら、差し支えないでしょう。普段できない会話をたっぷりするのもメリットですし。

ノッテきたメンバーにとっては夜の時間も有効活用したいものなので、そこは止めずに任せます。時には徹夜ということもあります。

日程は短くても2泊3日をお薦めします。二日目の昼にものすごいスピードで作業が進むことが多いのです。初日の夜から朝にかけてさらに頭の中で段取りが進むのかもしれないですね。ちなみに、あまりスケジュールは優先度含めて、個々人では細かく規定しません。とにかくどんどん片っ端からやっつけていくのが理想です。

疲れたときのお風呂はできれば24時間対応できる環境が望ましいです。お菓子や飲み物も買い込んで臨みましょう。

そして、一番大事なことですが、決めた課題のアウトプットをとにかく重視することです。サービスならリリースすることです。2年半前の時は開発合宿だけで、ウェブサイトをひとつと、コミュニティサービスをひとつリリースすることに成功しました。

開発合宿の手法は課題解決にも応用可能です。たまった課題を一気に加速度つけて処理することで、その後の仕事にも断然素晴らしい影響が始まります。

帰路は、アウトプットの後処理などをこれまた打ち合わせしながら帰ることになります。また、帰路のどこかで食事などしながら、反省会を設けることもはずせません。過去の合宿では、

「生産性が100倍は違う!!」

という会話がよく出ます。煮詰まったら、多少の時間ロスは覚悟してでも合宿することを強くお薦めしますよ。けど、100倍も違ってもらうと、普段の仕事の進め方も見直さないといけませんねぇ(笑)。

続・メーリングリスト活用法

前回の内容は、主に情報共有中心でしたが、個々の案件においては、進捗管理、工程管理、QC管理などプロジェクトマネジメントを支えるツールとなります。


MLのその他の活用法としては、下記のようなものが考えられます。

1.ブレインストーミング
2.課題を因数分解して前に進める


1のブレストへの活用は想像できると思いますが、ブレスト会議をML上で展開するのです。ブレスト自体は会議でもSkypeなど使ってももちろんできますが、時間拘束しないという点でMLでのブレストもけっこう使い勝手がいいですよ。

担当者が最初に案をいくつか箇条書きで投げたら、あとは受信した参加者が期限までにどんどん投稿をしていきます。基本は箇条書きの下に続けていくスタイルです。人の投稿を読みつつどんどんアイデアを膨らませて投稿を続けます。すると、すぐに100個ほどのアイデアが出てきます。期限が来たら担当者が類似のものを整理し、カテゴリー別にある程度整理します。


2は、課題解決手法としてMLを活用する方法です。どんな大きなゴールでも課題でも、極論すればこのML式解決法を使えばけっこう簡単に解決に向け動きますよ。

最初に大きな課題、ゴールなどをSubjectに記述して、投げます。それを受けて、どう進めるべきかなど解決に向けた、決定すべき事項や調査すべきことなどを書き込んでいきます。アクションが見えたら、それ自体を今度はSubject化して、因数分解ができないか、あるいは具体的なアクションとして担当とデッドラインが決まるまで該当メンバーが投稿し続けます。

運用方法としてはなかなか文章化するのが難しいのですが、例えば、ある課題をAさんが投げたら、間髪いれずBさんが反応して投げ返す。ところが、Bさん他メンバーは集中してそのMLに対応できない状況かもしれない。その場合は、Aさんは自分で投げた課題に対して、自分でどんどんスピード感持って解決策を投げていきます。

イメージとしてはキャッチボールではあるのですが、誰もレシーバーがいない場合は、壁に向けて投げてキャッチボールを続ける感じです。とにかく、自分が手元にボールを持っている時間を短くすることがポイントです。相手の手元にボールがあって、キャッチボールが止まりそうなら、走っていってボールを取って、また自分が他のメンバーや、壁に向かってボールを投げるとか(笑)

キャッチボールの回転数を上げ、滞留時間を短くしていけば、気がつくと、短時間で課題解決の道筋ができており、かつ、課題の大半は既に片付いているということさえあります。

新規事業の具体的なプロジェクト立ち上げ時などは、ひとつのMLで一日の投稿数が200を超えるなんてこともありました。トイレ行く間もないぐらい(笑)。脳内物質出ますね。

この課題解決MLには、できればジャッジできる権限のある人が入っているとベストです。
MLはインターネットのメール登場以来の古い技術ですが、新しいグループウェアにも負けないパワーがあると感じます。

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