放浪コラム

高山病で熱が出た。そして化学物質へ。

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これも昔のエッセイ。1998年。


最近、身の回りや昔の友人たちで「出産」「妊娠」が相次いでいる。僕の年齢がそんな時代になったんだろうけど、僕が思うのは「みんな大丈夫なんやね。」ということ。

実は恥ずかしい告白で、こんなこと書いてしまうと嫁さんがいなくなってしまうかもしれないんだけど、ちょっと僕には「疑惑」があります。よく、「大人になってからのおたふく風や風疹は高熱を出すので、種無しになる可能性があります」と言います。僕はこれには該当しません。(たぶん)

が、学生時代にアフリカでケニア山という富士山より高い山に登った時、高山病になっちゃいました。4,300mの山小屋でふらふらとなりながらタイ米の雑炊を作り、とにかく食べ、頭痛と吐き気を我慢しながら一夜を過ごしました。で、その時、体温計を持っていたので計ったんですが忘れもしません。振り切れていたんです。

ご存知のように、水銀体温計の表示は「42℃」まで。とっくに過ぎてました。それを見てくらくらきた僕は浅い眠りに落ちていったのです。

さて、ここで安心材料は「そんな体温なら死んでいるはず」「気圧の関係で正しく計れていない」「夢を見ていた」などですが、疑惑をはらすまでに至っていません。「病院に行く」ことで済むのですが、どうもねぇ。

(注:2007年現在、めでたく一男一女に恵まれました)

と、「ひょっとしたら生産縮小工場」の話を書きましたが、何も高熱だけが「精子激減」を引き起こしているのではないですよね。

フロリダで「ペニスの無い雄ワニ」の報告があったのははるか昔の事。今では僕たちの世代の男は戦前の男の半分の精子量しかないとの報告もあり、さらに急ピッチで減っていっているとされています。この引き金になっているのが化学物質。なかでもホルモンとよく似た働きをしてしまう環境ホルモンが問題になっています。僕らの身の回りはそんな物質で溢れかえっているんでしょう。

そこで、生活スタイルを一度に変化させる事ができるのかというと、これが難しい。便利になれてしまった僕らは悪いと分かっていても駄目なんです。先日も女の子に「リップクリームは使えば使うほど本来持っている水分保湿の能力を落として、どんどん荒れてくるよ。」と言ったところ、「やめる」と宣言していたのですが、毎日数十回塗っていたものは簡単に止めれず、結局つけてるみたいです。僕の家の田畑も「農薬」や「化学肥料」を悪いと分かっていても使ってしまっています。その地下水を井戸から飲んで「水道より美味い」と言ってるんですからお粗末さまです。

僕らはしっぺ返しが自然からくる事を半ば自覚しつつ「汚染」を続けているんでしょうか?界面活性剤、化学物質を使った日用品がCMから無くならないのはしょうがないんでしょうか。そうじゃないはずです。人から「気取っている」と思われようが、「苦労」や「不便」を感じようが「次世代」を作る気があるなら、僕らは生活スタイルを変えなくてはいけないと思います。

バッファロー

10年近く前に書いていた文章がけっこう見つかったので、ちょっと掘り起こし。今後もシリーズ化。


サラリーマンでも海外でのんびりキャンプする事は可能。僕も数年前に9月に会社をサボって、同僚数人と友人、計4人でアメリカの国立公園めぐりなどをした。

あっちは1泊、$7~$10ぐらいの料金でテントが設営できる。その日も最初のロングランに疲れて、イエローストーンのキャンプサイトにて早めに休む事にした。

テントを張って、食事の準備。夕方の5時ぐらいだが緯度が高いのでけっこう明るい。ふとそばの看板を見ると、英語でこう書いている。

「注意:ここはバッファローの通り道ですよ」

バッファローと言えばケビンコスナーの映画でも大量に出ていた大型の水牛。バイソンなどとも呼ばれている。

「へぇ、おもろいなぁ。見てみたいわぁ」

の、数分後。何やら地響きがしてくる。野菜を切る手を止めて遠くを見る。

「ん?」

草原の遠くにどうも黒い蟻みたいなのが密集している。それが徐々に近づいてくる。

「あかん!すごい量や」

が、気がついた時は既に手後れ。彼らは僕らのサイトをかすめて通るコースを取った。

「セーフ!たすかったー」

テントと食事が安全となると、僕らは急に観光客に変身。なんせ、3mぐらいの距離をバッファローが通り過ぎているのだ。こんな経験はめったにできない。数にして数千頭。んー、壮観な眺め。と、感慨にふけっていると、無謀な友人Yがカメラ片手にかなりの至近距離に迫っている。

「やめとけ!」

の僕の声を無視してさらに近づく。と、次の瞬間、バッファローが猛スピードで反転してきた。

「!!!!!」

友人Yは目をむき出して走ってくる。当然、バッファローの方が速い。が、寸前でストップしてくれた。

友人Y「バッファローの目が優しい目から急に恐ろしい目に変ったんや。」

まさに「ナウシカの王蟲」の敵色信号。

友人Yは
「俺はあの時一度死んだんや。これからの人生はバッファローの保護に生きる。」

と言ってました。

自然と接する時はいつの日も「ローインパクト」でね。

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