放浪コラム

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早朝会議(3)

会議が終わると、すぐに早朝会議担当者は議事録を作成し、9時半ぐらいには全社にメールで連絡します。議事録に続いて、担当者とデッドラインが追記された課題リストが配信されます。各々の担当となったものは、段取りをした上で、猛スピードでデッドラインを厳守し、かつ少しでも前倒しするために業務に散って行きます。会議の席上では意図的にデッドラインを当日にする項目が多いので、ゆっくり珈琲を飲んでる時間はありません。部署によってはお祭り状態です。

業務を遂行している中で、発生した課題は、もちろんその場で解決していくことがスピード経営的にも望ましいのですが、関係者が複数の部署にまたがる場合など、調整が難しい場合は翌日の議題にまわります。デッドラインが当日の課題も翌日の議題になります。他、社内から広く議題を当日中に集めます。少しの細かなことも放置せず、迷わず議題として専用のメーリングリストに投稿します。社内の飲み会などといった柔らかい話題も議題化します。こうして、終業時間までには新たな議題が出揃い、早朝会議担当者からメールで配信されます。

早朝会議を真剣に実践すると、「あれはどうなってる?」「聞いてない!」「もっと報告をしてください。ホウレンソウを忘れないでよ!」と言った会話がとにかくゼロ化します。また優先度の判断が概ね終わってますから「何から手をつけようか・・・」と言ったようなロスタイムも極端に減少します。誰に確認していいか分からず、もやもやしたまま仕事をしている・・・ということも経営者が知らないだけで担当者レベルでは日常的に発生しているロスですが、これも確実に減ります。何より、社内がどんどん意見を言い合って、刺激しあってという雰囲気になるようです。よく「コミュニケーションが足りない」と嘆く方が多いですが、実は「会話が足りない」ということのようですね。

早朝から元気な顔を見て、本質に迫る議論をし、計画をたてて、お互いプロとしての責任を確認し、冗談もいいながら「会話」を重ねると、そこから活力ある会社が生まれてきているのかもしれません。ぜひ早朝会議を実践し、会社丸ごと朝型になることをお奨めします。

早朝会議(2)

参加メンバーは、自主的な参加ということにしていますが、役員全員と各グループのリーダーであるマネージャ職(課長職に相当)には基本的に参加をお願いしています。加えて、担当者レベルも自由に参加できます。勉強の意味もあるので担当者も参加するよう、マネージャから声をかけていることも多いようです。8時30分ですと通常でも出社している社員が多いので無理をしている感じはないようです。加えて、早朝会議担当として総務部署から1名は必ず参加します。基本的に毎日開催で、会議の議長は社長である私。私が出張や休暇で不在の場合は、副社長が代行します。副社長も不在の場合は開催を中止します。トップが不在では決断が遅くなるため、議題の消化スピードが遅くなります。

議題は前日の終業時間までに、早朝会議担当者から議題リストが全社員にメーリングリスト経由で配信されます。それ以降、開催時間までの間に新たな議題が発生した場合は、その旨、メーリングリストに投稿します。これは社長である私が発議した場合も同じです。当日の朝は、8時過ぎには参加メンバーが集まり始め、会議開始まではそれぞれ議題に対して報告事項などの最終まとめをしていますが、私自身もできるだけ早く、特に理解度が浅い議題の場合は背景などの調査のため、時には6時ごろから出社します。この準備をするかしないかで議題の消化スピードや、最適な解決方法を導き出せるかどうかに深く影響します。あまり理解できていない議題の場合、決断ができず、翌日に先送りをするようなことも過去にはありました。

開始時間が7時台になったりすると、実際問題、遠距離通勤者は負担が大きくなります。早朝会議自体は本来、就業時間内の効率性を高めて、残業を減らす効果があるので、退社時間は早くなると思うのですが、参加者に負担が少ない開始時間にするなど配慮が必要になってくるでしょう。我が社の場合は遠い人で1時間ぐらいなので、8時半開始なら問題ないようです。それに会議自体に遅れてくるのは、学校で遅刻するのが学校の近所に住んでいる子が多いというように、通勤時間とはあまり相関関係は無いように感じます。早朝かどうかに関係なく、会議自体に遅刻するということは会議の重要性をあまり感じていないということに通じるので、常習者はよく話し合った上で別の情報共有なりのプランを話し合ったほうがいいと思います。我が社でも罰金制を敷いたり、連帯責任性を導入してみたりしたことはあるのですが、それで解決するかというと、解決しません。早朝会議を実践すると決めた時に、参加メンバーととことんその重要性を話し合い、確認し、徹底的に意識レベルを高くするしかないと思います。

メンバーが揃ったら、議題リストに基づき、処理していきます。議題は、次のアクションを明確にし、担当者を決め、期日(デッドライン)を明確にします。司会進行は社長の役割です。すぐに決められることは決めるのですが、担当者なり、担当役員から報告が必要な場合は報告を受けます。その際、アクションプラン案も出してもらうのですが、曖昧な表現や数値化できる部分が数値になってないなどは即座に訂正を求めます。データに基づかない推測なども厳しくチェックします。この時間は本当に真剣勝負です。司会者としては頭がフル回転じゃないと進められません。お互いにロジカルに考え、知恵を出して、最適なアクションプランを決めます。その上で、担当者とデッドラインを決めるのです。真剣勝負ですから少々語気が荒くなることもあるのですが、そこで黙ってしまうようでは真剣とは言えません。場合によってはアクションプラン自体が50%程度の未完成のままということもありますが、とにかく走り出して、訂正に訂正を繰り返すことを求めます。会議自体のスピードもそうですが、アクションの遂行自体も意図的にスピードをあげないとあっという間に、夕方が来てしまいます。即断即決、即実行のスピード感を朝から全開にします。

(続く)

早朝会議(1)

私はシステムの受託開発をメインとするIT系のベンチャー企業を経営しています。今回は我が社で毎朝行われている、早朝会議についてご紹介します。我が社にとって早朝会議とは、すべてを決める会議といっても過言ではありません。「今すぐ何をするか?」「今日何をするか?」「明日何をするか?」日々発生する課題に対し、すべての優先順位付けと担当者、期日(デッドライン)を決めるのが早朝会議です。

情報共有が重要だということはほとんどの会社の経営者が認識しているはずです。一人一人が歯車として仕事をするというのは、規定された仕様の製品を作るなど、毎日に変化がない時代の話。現代においては、日々変化する情勢に対し、社員が臨機応変に対応することが求められ、何がしかのチームで解決することがほとんどです。その際に重要なのが情報の共有です。メールやグループウェアなどのデジタルツールでかなり進展しているのは確かですが、それでも返事を待ってロスが発生したり、使っているメンバーが偏っていたりと、実際は活用し切れていないということも多いのではないでしょうか?

早朝会議では、デジタルツールでは伝えきれない想いや、元気そうかどうか、顔色などのビジュアルな情報まで含め情報共有することができます。早朝会議の場で続々と担当者とデッドラインが決まっていき、会議が終わったころには、迷うことなく業務に打ち込める体制が整います。日々進んでいる業務全般にまで渡って全社で情報共有でき、必ず達成する計画が立案できる仕組み。これが早朝会議です。

我が社の場合、現在は8時30分から開始しています。「早朝会議」と銘打つには遅いと感じるかもしれませんね。どちらかというと、「始業前会議」という意味合いでしょうか。開始時間の設定は、始業時間の考え方にもよります。9時なら9時にお客様からの電話が鳴り続けるとか、営業マンが9時と同時に駆け出していくなどの場合は、始業時間までに確実に終える必要があります。また、議題の数が定常的に20個を超えるようですとひとつの議題を2分で終わらせていくとしても40分以上かかります。慣れれば早くなるのですが、議題数が多いようなら、開始時間も応じて早める必要があります。我が社の場合は、平均15個の議題、平均2分で処理していきますので、約30分で終了します。始業開始時間になって終わっていなくても、お客様に迷惑がかからない範囲で継続し、とにかく議題を消化します。

(続く)

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