四万十のゲリラ医者、小笠原望先生の「看取り」を大きなテーマに据えたエッセイ。
「痛まず、苦しまず、できたら何か食べられて、
そして住み慣れた環境で最期を迎える」、
それを「いい仕舞い」と地元の人たちは言う。
いのちには最期があることを前提とした言葉で、
これは四万十に来てから発見した
「ひとのいのちも自然のなかのもの」と一対となる
感じ方だと思う。
僕は日本看護学会の全国大会が2005年の7月に高松で開催された時に、縁があって小笠原先生とは活動報告とパネルディスカッションでご一緒させていただいたことがあります。小笠原先生の穏やかな、ですがひとつひとつの「言葉」にこだわったお話に感動してしまって壇上で聞いていたんですが本気で泣いてしまいました。
このエッセイも穏やか文体の中に、おじいちゃん、おばあちゃん、家族の方、看護士さん、介護士さんへの愛情に溢れた優しい言葉の数々が散りばめられています。特に「こころのケア」を大事にされているのがこれからの医療の現場には欠かせないなぁと感じました。
一昨日ののNHKのNW9でも「がんでよかった」とある男性が残した言葉から、悔いのないように余命を生き抜こうという姿勢を掘り起こしていましたが、これからは在宅医療をメインに訪問看護と訪問介護の連携が重要な時代だと痛感します。
僕自身、いつ来るかわからない自分のその時の為に、在宅医療を実施してくれる素敵なお医者さんを探しているところです。万が一見つからない間にその時が来てしまったら小笠原先生を頼って四万十に移住するかもしれません(笑)。
いや、けっこう本気です。