中小機構の窓口でアドバイザーを月に1、2回担当していますが、ネット活用など専門的な部分で対処法などを説明するのは、まぁ簡単です。ところが、お話を聞けば聞くほど、「それは経営の問題ですね・・・」となってくると、じっくりコースに移行します。
また、最近では個別に若手の経営者の方からの相談も増えていまして、カフェなどで2時間ほどじっくり話を聞いてはアドバイスしたりもしています。
が、処方箋はけっこう誰にでも書けると思います。ネットでも本でも情報はありますし、少しビジネスの現場を経験してれば、どういう手順で進めればいいかはアドバイスできるんです。できれば組織マネジメントを経験している相手に相談したほうがいいですけど。
問題は実行力の部分なんですよね。
僕自身、自分が書いた処方箋にそってきちんと経営していれば、もっと楽になっているはずです。実行力が追いつかないのです。
実行力を邪魔するのは主にプライドではないでしょうか。
「少々安定してきたので、取引先への条件緩和依頼は来月にしよう」
「本当はコストダウンのお願いを社員にしないといけないが、どうしよう」
「運転資金を確保しないといけないが頭を下げたくない」
などという感じで先送りをしているケースが多いわけです。
しっかりとした信頼おける処方箋を入手したら、ではどうすればいいでしょうか?
マラソンのトレーニングと同じで、「伴走型」と「独走型」があります。
「伴走型」は、外部の信頼おける方に、経営の中に入ってもらって、まさに伴走してもらいながら、ペースメーカーになってもらって、課題解決を実行して行きます。プライドが邪魔して折れそうになっても、
「大丈夫。いけますよ!」
「ここからが正念場です。ためていたエネルギーを使いましょう!」
という感じで一緒に走ってもらうパターンです。経営経験が浅く、ひとりで立ち向かうのが辛い場合は有効ですね。副社長レベルの権限をきちんと与える、取締役で迎えるなど「伴走」に相応しい立ち位置を用意するとスムーズです。
ですが、いずれはプライドを捨て去り、様々な課題をひとりで克服していける「独走型」にならねばなりません。この場合、外部のアドバイスを受け入れた上での綿密なマイルストーンを設定し、そのデッドラインをまさに死ぬ気で守っていく心の強さが必要です。その為に、定期的に取締役会、社員総会などで説明会を持つこと自体をマイルストーンに入れて、透明性、公開性を持たせてのチェック体制をとるなどが大事です。そう、全面的にプライドを捨て去ることです。