ここ数日、寝る前に湯本香樹実さんの「夏の庭」という話を読んでます。
これまたひと夏の少年たちの成長物語なんですが、昨夜の段階で半分超えたぐらい。読んでて、少年グループのひとり、「山下」が夏のプールで溺れて死にかけて、その後臨死体験を語る場面があります。
「海の中にいるんだ。オレ、ヒラメの背中に乗ってた。イワシの群れがきらきら銀色に光ってオレの目の前を横切っていった。きれいだったなあ。」
読んでて久しぶりに僕の記憶もよみがえりました。
僕は中学、高校と柔道をやっていたんですが、中学二年の頃、先輩に首を「送り襟絞め」で絞められて、「まいった!」をすればいいのに我慢してなんとか形成逆転してやろうと踏ん張ってたんです。
すると、だんだん真っ暗になって気持ちいい感じになっちゃって、ぐっすり寝た気分で「そろそろ学校行かなくっちゃ」と朝起きた感覚で目覚めたら、先輩たちが心配して覗き込んでるっていうことがありました。
いわゆる、「落ちた」わけです。「落ちる」のは頚動脈を圧迫されて脳への血液が減って意識がなくなった状態のこと。パッと聞くと恐いですが、まぁ、柔道部の現場ではよくある光景でした。
僕自身はその時がはじめてで、その時は特に夢を見たようなこともなかったんですが、その後、癖づいてしまって、少し絞められただけでも「落ちやすい」体質になってしまいました。半分根性入れ目的で後輩を絞めてると反撃されて僕が落ちたり。見事に弱点化してしまったわけですね(笑)
試合でも僕は「絞め合い」になることは避けて、できるだけ立ち技か、そこからの流れでの押さえ込みを中心に組み立てていたんですが、ある大会で名前は出さないですが、僕らからしてみれば超弱小チームと当たることになり、先鋒の僕は「まぁ、消化試合だね(笑)」という感覚で白帯の小柄な相手と対戦しました。
試合は僕が得意の内股で投げて技あり、そのまま袈裟固めで押さえ込み。20秒で「合わせて一本」です。が、相手は押さえこまれた状態から僕の首を絞めてきました。まぁ、悪あがきってやつですね。仕方ないやつだなぁ(笑)。そんな中途半端な絞めでは効いてないよ(笑)・・・・・・・・
すると突然僕は草原に寝転んでます。寝てたみたいです。
立ってみました。
目の前にはススキが風に揺れていて、夕方の穏やかな光線が目に入ってきます。きらきら光ってなんてきれいなんだろう。
ほんと素敵な場所だなぁ。ずっとこのままでいたいなぁ。それぐらいものすごく心地いい感覚・・・・・・
「むにゃむにゃ・・・」
「君、君、大丈夫かね!」
「あれ・・・。あれれれ・・・?」
楽勝試合の一発目、勝利目前で僕は落ちてたみたいです(笑)。僕のチームのベンチは
「森田がまた落ちた(爆笑!)」
って感じで変な盛り上がりをしてます。おいおい。
(ちなみに、「落ちて」しまうと一本負けです。)
とまぁ、臨死体験にはほど遠いただの夢を見てたってやつなんでしょうけど、そういう状況になると僕は「ススキの草原」を見るのだなぁという変な観念ができてしまいました。ススキが揺れる、ため池の堤防をジョギングするたびに懐かしい感覚になるのはそういったことが影響してるのかもしれません。