今では毎日のように出かけている「まちなか」。僕が子供時代には「マチ」と呼んでて、
「マチに行く」
というのは、大都会に遊びに行くイメージ。
小学校の3,4年ぐらいから、なんとなく子どもだけで、「マチ」に出るようになった。なんといっても、高松の中でも田舎中の田舎すんでたので、「マチ」に出るのはものすごいこと。何度か、兄に連れられて子どもだけで行ったことはあったので、どこにいけば楽しいかぐらいはわかってるけど。
高田まで自転車でそこから瓦町まではコトデン。瓦町駅に着いたら、まずは、「クーラージュース」とみんな呼んでた、20円か30円の、得体の知れないオレンジ色のジュースを。ガラスのヘッドトップをオレンジ色の液体がふわーーっと、のぼってるやつ。皆さんも飲んだことあるんじゃないかな。
常磐街に出て、最初はダイエーへ。ダイエーのおもちゃ売り場やらをうろうろした後、屋上へ。ダイエーの屋上は規模小さいので長居はしない。続いて、「味の街」である地下へ。後にアニメポリスができてからは違った賑わいだったけど、それ以前は安いラーメンを食べるところのイメージ。その昔は150円で食べた覚えがあるなぁ。それでもムチャクチャ美味しかったなぁ。作る過程を見ながら待つというのはすばらしいですな。
続いて、ジャスコへ。もう少し大人になれば、タマルやら、服屋やらへ行くのだけど、当時の僕らは「ダイエー」と「ジャスコ」しか頭にない。ジャスコでは一目散に屋上へ。実際問題、エスカレーターだけでも相当楽しいんだけどね。ジャスコの屋上はとにかく充実していた。メダルゲームをずーっとやってても飽きなかったなぁ。
が、ある日。気がつくと、帰りの電車賃を使い込んでることに気がついた。で、友人Iと、友人Tに話すると、なんと二人も持ち合わせがあんまりないとのこと。あらまぁーと、三人でため息をついたが、仕方ないので、全額遊んでしまうことにして、歩いて帰る事に。
一文無しまで遊んで、さてってことで瓦町駅に。地図もないし、道なんかわからないので、とにかく高田まで線路沿いに帰る事にした。途中までは長尾街道を歩いていたのだけど、元山あたりから線路と道が離れだしたので、線路優先の僕らは、田んぼの中を歩いて線路へ。電車が来てるかどうか線路に耳をあててみたりしつつ。
で、問題の春日川の鉄橋。スタンドバイミーの世界。
鉄橋の真ん中に金網があって、歩けるようになってる。僕らは悩んだ末、電車が迫ってないこと確認して、走りきることにした。
「いくで」
「おう。」「おう!」
今、その鉄橋を見たら短いんだけど、あの時は長く感じたなぁ。同じように新川の鉄橋を走って渡った頃には、もう暗くなっていた。
高田に着いて、自転車に乗って家に帰るペダルはとにかく重かった。疲れてるんじゃなくて、遅くなってしまったので叱られると思ったのだ。
おそるおそる、家のドアを開けてみる。
「ただいま・・・」
「おかえりー!!ご飯できてるよ!もうみんな食べとるでぇ」
と拍子抜けするほど、明るく迎えてくれた家族。今もって、その晩はなんで怒られなかったのか謎だけど、あの時ほど家族の夕食が素晴らしいと思った夜はなかったなぁ。